しなやかな黒皮鉄。
素材の物語 素材の物語 MY HOUSE MAKING STORY vol.008

しなやかな黒皮鉄。

生まれたままの鉄。

初めて黒皮鉄を見たら、皆さんがいつも目にしている鉄とあまりにも違うことに驚くかもしれません。鉄は成形時、表面に黒皮と呼ばれる酸化皮膜ができます。ふつうの鉄は酸洗処理をして皮膜をなくしてしまうのに対し、黒皮鉄は黒い皮のような層を残します。鉄の”素地”、つまり生まれたままの鉄には、錆や傷、ムラ感がはっきりあらわれていて、冷たいような、乾いたような、強靭なかっこよさが宿るのです。
そんな黒皮鉄の魅力を活かして、スケルトン階段をつくることになりました。もちろん手すりも黒皮鉄です。スリムなフラットバーを最低限使用し、空間につながりを。黒皮鉄は錆・傷への抵抗力が弱いため、使っていくうちに風合いが変わり、さらに渋みが増します。しかし、それゆえに施工は大変。なぜなら、加工のごまかしがきかないからです。

圧倒的な存在感。

階段に使用した黒皮鉄の厚さは9mm。工場では余計な傷跡をつけないよう気をつけながら、階段の二段分を折り曲げます。溶接がしやすいようにジョイント部分のみ黒皮をはがし、現場に搬入。職人さんたちはまるでガラスを扱うようにそっと、溶接作業をすすめていました。
そうして完成した階段は、圧倒的な存在感を放ちます。一枚のごく薄い黒皮鉄が段々に織り込まれたような階段は、一見華奢なのに、踏みごたえは重厚。駆け上がってもびくともしません。折り曲げ部分は白く、錆は茶色に変色。マットな黒皮鉄のあちこちにさまざまな傷や跡が散らばって、無骨な趣がにじみ出ています。繊細さと強靭さ、相反するイメージが重なる階段。お施主さまがお持ちのジャンプルーヴェやシャルロットペリアンの家具と、不思議なくらいに調和していました。

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